PROJECT

整備前の柳ヶ浦駅と駅前広場
整備前の駅舎待合室
整備後の全体俯瞰CG
整備後の柳ヶ浦駅全景
駅舎前シェルターの夕景
待合室には可動のテーブルとベンチ、展示棚を設置
待合室カウンターからホームを見る
駅長室はグランドオープンまでの間、多目的ルームとして使用
温かみのある杉材を使用したトイレ
ワークショップで製作したベンチ

柳ヶ浦駅リノベーションと駅前広場シェルター

駅舎リノベーション建物概要

用途
駅舎
構造
鉄筋コンクリート造平屋建て
規模
改修部面積159m²
業務
設計および工事監理
機械設備設計
山口設備
電気設備設計
Lプランズ
施工
奥田組

駅前広場シェルター建物概要

用途
歩廊シェルター
構造
鉄筋コンクリート造平屋建て、鉄骨造平屋建て
規模
駅舎前シェルター351m²、バスシェルター117m²
業務
設計および工事監理
構造設計
梅沢建築構造研究所
機械設備設計
山口設備
電気設備設計
Lプランズ
駅前広場設計
増山晃太、建設技術センター
交通計画
五十嵐淳
プロジェクトマネージャー
辻喜彦
シェルター施工
末宗建設

CONCEPT

日豊本線柳ヶ浦駅は、かつては軍事施設への引込線もあり、機関庫を備えた豊前地方の主要駅として駅周辺も栄えた時期があった。しかしその後のモータリゼーションの普及と過疎化により、駅利用者数は年々減少し、駅周辺の賑わいも時代と共に衰退していった現実がある。駅利用者減に伴い鉄道便数の減便も余儀なくされ、負のスパイラルに拍車をかけるような状況となってしまっている。
このような現象は柳ヶ浦駅だけの話ではなく、全国の多くの地方駅でも同じようなことが起きている。本駅周辺整備は、大げさに言えばこのような小規模地方駅の今後の可能性について、一つの駅像を提案できればという想いで、設計チーム全体で取り組んだプロジェクトとも言える。
駅舎改修では、まずは利用実態に即した待合室の強化が必要であった。高校生やビジネスマンが利用しやすいように、机やいすを製作し、コンセント端末や無料wi-fi接続が可能な待合室へと改修した。また、宇佐の観光案内や地域物産販売を兼ねた総合案内スペースを新たに設け、鉄道利用だけではなく、地域の人たちが積極的に駅舎を利用したくなるスペースを創出した。オープンな芝生の駅前広場とともに、幅広い世代の人たちがちょっと立ち寄りたくなる駅、居場所となる駅を目指した。
机やいすは、地元の高校生や有志の方々と共にワークショップによる製作を行った。観光案内スペースでは宇佐市が定期的に企画展示を開催し、積極的な賑わいづくりを図っている。行政と地域の人たちによる官民のかかわり方、無理のない協力体制が、今後の地方駅のあり方のように思えるプロジェクトになった。